彩徳 - 紺屋めぐり 2017



私にとっては初めての着物3連ちゃんとなる最終日は、お江戸新宿「紺屋めぐり」の彩徳さんです。



こちらは染織補正、しみ抜き、一部染直しなどの専門店です。



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この日は、これから台風が来るというので傘をさしての訪問でした。



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高田馬場駅近くの住宅街の一角のお宅です。



少し遅れて到着しましたら、予約の他の3名の方が熱心にお話を伺っていました。



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奥がこちらのご主人の小林さん。手前が息子さんです。小林さんが私たちの相手をしてくださる間、息子さんは黙々と補正の作業を見せてくださいました。



ここの工房は、しみ抜きの方法を教わったり、体験するのではなくて、プロの方が、どのようにしみが付いた着物を直しているかというのを、お話を伺ったり、見せていただくという場所でした。



しみについてはなるべくいじらないで専門家のところに持ってきてほしいとのことでした。



しみ取りの方法も他の業者さんではいろいろな方法があるだろうけれども、うちではこうしていますよというお話です。



基本は水で洗うというのが大事だそうで、洗剤を使うとそれをゆすぎきれないし、薬品を使った場合は必ず中和して終わらなければならないのにそれが不完全だったりして後で問題が起きることが多いそうです。



彩徳さんの仕事の成果は作業直後ではなく、数年後に分かるのでもどかしい思いがあるようでした。カビはへたするとブラシでこすってそれでおしまいのところもあるそうで、糸の奥までていねいにきれいにしているとそれなりの時間がかかるそうです。作業直後の仕事がきれいに見えても、実際はあとで問題になることもあるそうです。



汗じみなどは時間が経っていると取れないそうです。その場合は、その部分の色を抜いて、似たような色で彩色するそうです。それができるのが彩徳さんの強みだそうです。伺うとなんと黄色、赤、緑、紫、黒の5色だけで対応しているそうです。色は混ぜれば混ぜるほど彩度が落ちるので、できるだけ彩度の高い色で復元すると綺麗な色になるようです。



彩徳さんでは、補正に使う材料もよいものを使っているし、丁寧に補正をするので、値段もそこそこかかりますが、とても大切で、次世代まで残したいと思われる着物に直しが必要になった時は、ぜひうちに持ってきてくださいとおっしゃっていました。



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こちらの刷毛は人の髪の毛でできているそうです。



雑談がいろいろ興味深かったです。



彩徳さんは宮内庁からの依頼も多いそうですが、皇室は古い着物(もちろん極上のもの)を大事に大事に着ているそうです。中には傷み過ぎているのもあるそうですが、それでも大切に補正して着てらっしゃるそうです。着物道楽をしている民間人に比べたら、ずっと質素とおっしゃっていました。



大手有名百貨店の呉服部の担当者からの依頼も多いそうですが、すべての客の着物をまわしてくるのではなく、その担当者にとって大切な上客の着物のしみをちゃんと直すよう依頼がくるそうです。



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糸巻ブラシ(パキン)もご自分が使いやすいサイズに作るそうです。その使い方もただこするのではなく、水を含ませ具合を手元で調節したり自在に扱えて初めて使えるようになるそうです。



匂い袋を着物と一緒にしまっていると、そこからガスが発生して着物や帯に思わぬしみをつけることがあるそうです。



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このようなこては初めて見ました。ヒーターで熱くして、水のはね具合で温度を確かめ、霧吹きで湿らした着物にあてて作業をします。その時着物の端を持って宙に浮かして引っ張りながらこてをあてると生地がきれいになります。プロの技ですね。



彩徳さんは正絹の着物には防虫剤はいらないともおっしゃっていました。虫の被害にあっている正絹の着物をあまり見ないようです。(ウールは防虫剤は必須ですが。)虫は衣類に着いた糊を食べに来るともおっしゃっていました。着物でも箔などがついているものは防虫剤を入れた方がよいようです。帯芯にも糊がばっちり使われているのでよく虫の被害にあうそうです。絹の場合は防虫剤よりシリカゲルの方がいいかもとおっしゃっていました。(ただし袋がやぶけてこぼれないようにとのことです。)



化繊の長襦袢は着ないでくださいとのことです。静電気が起きてまわりの埃をすべて着物につけてしまうそうです。正絹でなくても綿、麻でもいいそうです。私が綿、麻だと裾さばきが悪くなるのでキュプラ(ベンベルグ)のステテコを中にはいてもいいかと伺ったらそれだったら、いいかもとおっしゃっていました。化繊の長襦袢を着て明治神宮をあるいたら、着物はいっぺんで汚れますとのことでした。



彩徳さんの私の印象は「染織補正、しみ抜きの世界の頑固おやじ」です。ご自分のお仕事にこだわりをもって、誇りをもってなさっているのがひしひしと伝わってきました。



彩徳さんのサイトです。 「ごあいさつ」のところに小林さんの思いがあふれています。



この日の着物は、雨だったので、吉祥寺の「ゆめこもん」が池袋に移転するとのことで在庫処分で安く購入した、伊勢木綿です。おそらくこのブログでは浴衣以外の初めての木綿着物かと思います。木綿着物の印象は、結構重い。けれど温かいというものでした。雨だったら安心して着れます。帯揚げはもっと白ぽいのがよかったかな~。



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帯はふくおばあさんの葡萄の帯です。雨なので着物はやめようと思っていましたが、思いなおして急遽着ることにしたので帯がちょっと曲がってしまいました!(でも彩徳さんに着物で来て下さってありがとう!と言われてうれしかったです。)



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この日は、彩徳さんの他に、すてきな出会いがありました。同じ時間帯に彩徳さんにお邪魔することとなった3人です。着物を愛しているのですが、ただ着て楽しむだけでなく、自分が着ている着物はどんなものなのか知りたい!という探求心が旺盛な方たちでした。彩徳さんのあとに、せっかくなので喫茶店でお話させていただきました。皆さんそれぞれご自分のプロジェクトをお持ちで、大いに刺激になりました。



お江戸新宿「紺屋めぐり」!前期が終わりましたが、たくさんの人にインパクトを与えていると思いました。

コメント

No title

貴重な体験をされましたね。
私もしみ抜きは半期に一度のいち利開催のきものクリニックで、
その場で落とせるものは無料でしてもらっていました。
ベンジンも買ったのですが、あとで使わない方がいいとの
アドバイスをもらったことがあります。

しみ抜き

カンカンさん しみ抜きはいろいろな業者さんがいるのでそれぞれ試してみるしかありませんね。予算もあるし、悩みます。彩徳さんは、これはという特別な着物かな。

木綿着物

着物はお手入れが自分で出来ない物が多いのでついお手入れ代を考えると着るのを躊躇してしまいます😥
リサイクルでお安く買ってもお手入れ代が上回ります😱😱😱
ある方がお手入れ代をケチるなら着物は着るなと言っておりましたが複雑です💦
それを思うと木綿は自宅で洗えるので気が楽です。
今日の帯モダンですね、また違うコーデで締めて見せてください。

木綿着物

梨Rinさん 木綿着物は快適でした。ただするするしないので着づらかったです。この帯はもう端がすれて崩壊寸前なのですが、柄がモダンなので使っています。ふくおばあさんは粋だったのでこんな柄がお好みだったのかなと思います。

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プロフィール

あるばとろす

Author:あるばとろす
60代の東京の主婦です。2015年に祖母の着物を受け継ぎ、時々着ています。外資系企業で秘書や通訳ガイドをしていました。現在フランス語を学習中です。30年以上のバードウォッチャーです。あるばとろすはアホウドリの英名、仏名です。コメント大歓迎です。コメント投稿欄のパスワードは後からご自分で削除する時に必要なもので、なんでもいいです。An English and French speaking Kimono lover who goes out often to watch wild birds. Your comments are welcome if you like my photos!

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